不動産の価値



 日本の地価は14年連続で落ちています。今後2007年をピークに世帯数は減少しはじめ、都心部においても大量の空家の発生が予測されています(現時点でも6軒に1軒が空家)。相続により住む人のいない中古住宅が増えますが、中古は価格が安いことと固定資産税がほとんどかからないことを理由に、転売/再利用が進まない状況が続くでしょう。さらに、築20年程度で更地にして転売する人もいます。ほんともったいない話です。

 日本と比較して米国は住宅の築年数は価格にリンクしないと言われています。実際、私が住んでいたフィラデルフィア中心部では築100年以上の古い家が高値で売れていました。私も旧陸軍住宅の築60年のアパートに住んでいましたが教えてもらうまで60年たっているとは気づきませんでした。京都議定書を批准していない米国ですが、住宅の長寿命化は環境負荷提言の点でも大きな効果があるのではないでしょうか。

 今年の土地白書によると中古住宅の活用が課題の一つに上げられていますがまったくその通りだと思います。そのためには、築年数や利便性だけで不動産の価値が決まる今の状況を変えていく必要があると思います。

 例えば、周辺の公園緑地などが不動産価値をどれだけ向上しているのか調べる評価手法に、ヘドニック手法というものがあります。また、建蔽率を上げたら(緑地が減ったので)結果的に地価が下がってしまったという米国の研究データもあります。こういった情報をきちんと整理しながら、不動産価値を向上させる環境デザインを考えていかなければなりませんね。

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