ツールとしてのGISの力



1998年ごろから各種プロジェクトでGISを利用している。当初は実験的な取り組みであったが、徐々に地域の環境計画策定や自然再生プロジェクトで実際に用いるようになった。このツールは環境に関連する大量の情報を入手/処理/共有化できる点とアウトプットの表現力という点から、環境デザインには欠かせないものだと実感している。もともと、ペン大のイアン・マクハーグ教授がデザインウィズネーチャーで提唱した考えを実現化するために作られたのがGISと(一部では)言われている。また、世界最大のGISソフトメーカのESRIは元々ランドスケープコンサルタントで、創立者のJack Dandermondはハーバードの造園学科出身ということからも、GISと環境デザインの”相性の良さ”がわかるだろう。ということで、ここでは以前に携わったプロジェクトを紹介したい。 このプロジェクトは、ボリビアのサハマというところの地域資源を顕在化させ、地域の環境マネジメントプランおよび観光活性化計画を検討したもので、NPOや考古学者と共同で実施した。対象範囲が非常に広大で、地域の情報がほとんど整備されていないエリアだったため、リモートセンシング技術(衛星データ)およびGISをフル活用して作業を進めた。 ボリビア大使館の方や、南米に興味があるおばあちゃんなど多様な方の参加があり、通常であれば議論が発散しがちになるが、GISにより情報を共有化し、皆でサハマについて学ぶことが出来たため、非常に効率的にプロジェクトを進めることが出来た。サイトプラン検討ではスータビリティーマップという手法を用い複数案の検討を実施した。これはまた別の機会に報告しようと思う。 プロジェクトのwebsite↓ http://cml.upenn.edu/tierrasajama/default2.htm

コメント

  1. ��IS利用のメリット

    本日、学生からイラレがあれば、GISを使う必要があるのか?という質問を受けました。GISのメリットはリモセンデータや数値地図を使うことや、定量分析出来るメリットがあるのだけれど、まわりの学生はその先に進もうとしないのが現状です。

    単純なツールの組み合わせで、ユニークな分析結果を導くGISの良さをわかってほしいと感じました。

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  2. コメントありがとうございます

    kuregoさま

    よくぞこのブログを見つけてくださいました。早速のコメントありがとうございます。

    さて、ご指摘のとおりGISの強みは、ネットワーク解析や最短距離の検索、可視不可視(viewshed)などイラストレータでは出来ない機能にあると思います。

     例えば現在実施しているのは、リモセンデータ(なんと解像度1m!)から樹冠面積を抽出し、GISで東京都内のシジュウカラが生息可能な拠点樹林を抽出する作業を実施しています。(このデータは環境デザインに活用する予定です)

     これからの環境デザイン、まちづくりに携わるためには、上記のような定量的な解析をもとにした、説得力のある計画を提示していかなければならないと強く思います。

     近日中に、GISを活用したプランニング実施例をいくつか紹介したいと思います。また、ご意見等いただけると幸いです。

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