Port Sunlight/英国のまちづくり







 ビートルズで有名な英国リバプール近郊に「ポートサンライト」という町があります。ここは、サンライト石鹸(ユニリーバ)が労働者向けに1888年から開発した職住一体型のまちで、都市計画の教科書にもよく掲載されています。



http://www.nipponlever.com/ourvalues/environmentandsociety/default.asp

 WEBでも紹介されているように、当時悲惨な住環境を与えられていた工場労働者の福利厚生を向上させるために、子供のための学校や美術館が整備されました。また、各住宅の前と後ろには庭が設けられ、広い公共の緑地も用意されています。



 ポートサンライトでは、ビレッジトラストと呼ばれる管理組織が公園や図書館、ボーリング場、駐車場などの共用施設を保有しており、建物以外の各住宅の前庭部分は各住戸とリース契約を行う方式で管理されています。

 このリース契約を結ぶ前提条件として、修繕の方法など細かく指定されている建築ガイドラインを遵守する必要があります。言い換えれば、管理組織が景観をコントロールするための非常に強い権限を有していることになります。その結果として、歴史的なまちなみ景観が良好に維持できており、多くの観光客が訪れる貴重な観光資源となっています。



 ユニリーバのWEBでは「社会と環境に輝きをお届けする存在でありたい。」と創業時からの理念が紹介されています。従業員が理想的な住環境で暮らせるように、社宅に惜しみなく投資した当時の経営判断は、それを裏付けるのに十分な気がします。

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