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都市における緑と市民の健康の関係/最近の記事3本

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都市緑地と近隣住民の健康の関係性に関しては様々な研究成果が発表されていますが、緑被率と精神衛生の関係性や肥満と緑地面積の関係など、ちょっと読んだだけでは腑に落ちない内容も少なくありません。


そんな中で、最近はハードとしてのランドスケープではなく、そこで用意されているプログラムや緑と住民の関係性などをインデックスとして上手く説明している研究成果も増えてきていると感じます。

最近発表された以下の3本記事も都市緑地に関わる人にとり参考になる内容と思います。


一つ目は、トロントのリージェントパークをケースとして、都市緑地とメンタルヘルスの関係を論じた記事。

Why Park Designers Need to Think More About Mental Health 


緑地へのアクセスがストレスを軽減し、精神衛生を向上させるとされている。
しかし、高級住宅地の公園とは異なり、銃声が聞こえるような貧困地区で大規模な緑地が整備されると、犯罪を誘発してしまう事。
公園がコミュニティーづくりではなく、(犯罪発生拠点として)コミュニティ破壊の装置として機能する可能性がある事などが指摘されています。
都市緑地が愛される存在になるために、プランナーは公園面積やアクセス性など単純なインデックスだけではなく、もっと知恵を絞る必要があるとの示唆しています。



2つ目は、ペンシルバニア大学デザインスクールのニュースで紹介されていた、公園緑地と健康の関係性を論じた記事です。


Greener Cities and Human Health


身体運動を①仕事、②移動、③レクリエーションに分類すると、都市緑地は②と③に関係し、緑の魅力を向上させることで、住民の身体活動を増加させ、健康度を高めることが可能であると考えられる。
この理由からいくつかの研究は精神衛生も含め緑豊かなエリアの住民がより健康(肥満や高血圧が少ない)であると示している。
しかし、逆に、コンパクトな街の方がより健康であることを示す研究データもあり、自然と人間の健康の関係性はまだ明確に説明されていない。という内容です。


3つ目は、今月ハーバードから発表された、「ポケモンGoにより身体運動が増えるか否か」という興味深い研究資料です。


Gotta catch’em all! Pokémon GO and physical activity …

都市林の木材としての再利用

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街路樹などの都市林は空気の浄化や景観形成など都市に多くの便益をもたらしています。しかし、老化や疾病などにより毎年一定量が伐採されています。

伐採された都市林はどんな大径木であってもほとんどが、チップ化され肥料や燃料になっています。木材として新たな使命を得る都市林はほとんどありません。

実際、工事などで伐採せざるを得ない樹木を木材として再生するには

樹種がまちまちで品質が一定していないため買い手がつかない木材に釘などの異物が混入し鋸を損傷する製材所は都市には存在しないため物流にコストがかかる、
など多くの課題が存在します。


今月リリースされたCITY LABの記事では、米国での都市林再利用の情報が紹介されています。
例えば、ニューヨーク市だけで年間8000本の都市林が伐採されるそうですが、日本と同じくほとんど再生利用されないそうです。

そんな状況を打開しようと”CITY BENCH”という企業が活動しています
彼らは主にコネチカット州、NY集、NJ州の都市から発生する木材を集め、ベンチや家具などに加工販売しています。





(Courtesy of CITY BENCH)


割れが入っていたり、形状がいびつだったり、釘が打ちつけられていたり、、 個性あふれる都市林の特徴を上手に活用し、単に再利用したというレベルではなく、ファニチャーとしてデザイン性の高い商品に仕上がっていると感じました。 担当スタッフが材の特徴を見極める高い技量を保有しているのでしょう。
使命を終えた街路樹から作成したこのような家具が置いてある店舗が増えれば、 人と自然の関係性をより深く考えるよい機会になるのではないでしょうか。
私も国内の某プロジェクトで同様のチャレンジを行っておりますので、近いうちに別媒体で紹介出来ると思います。


街路樹の日米比較/Leaf Dayなど

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季節ネタで街路樹管理手法の話題

紅葉が美しい11月ですが、東京では紅葉・落葉前のタイミングで強剪定が行われています





沿道住民や店舗からの行政へのクレームを防ぐために、葉が落ちる前に枝ごと落とす強剪定に関しては、日本は景観に関する関心が低いため実施されると言われています。本当にそうなのでしょうか?

日本では、自治体が街路樹を”何本植えるか”を目標としているケースがあり、これが強剪定を引き起こす一つの要因ではないかと感じています。

つまり、何のために街路樹を整備するのか、その目的を達成するための街路樹デザインはどうあるべきかの議論がなされておらず、
「○○通りに街路樹を100本増やした」が目標となっているため、本数の確保そのものが最大の達成目標になっています。

この考え方では、質を問わず同じ大きさのスペースに出来るだけ多くの植栽をする方が、「目標に近づく」ことになります。
従来1本植えられていたスペースに2本植えるように計画したり、既存街路樹の間に新たに街路樹を新植する行為が発生します。
そうなると、当然枝が干渉しあうようになるので強剪定という流れです。

やはり、本数を目標にしている近隣の国でも同じ状況になっている街路があります。



街路樹は何本植えるかが重要なのではなく、どんな機能を発揮させるかが大切であり、機能重視(パフォーマンスベース)で目標を検討するようにしたほうが良いと思いますがどうでしょうか?



一方、米国では、街路樹のメリット(機能)とリスクを明示し、受益者負担を含め合理的な行政サービスを行っているように感じました。



自治体によって色々な運用がなされていますが、私の住んでいた地域では自宅の前面にある街路樹の落ち葉清掃は、住民の義務になっていました。
それに疑問を持つ住民は少なく、不動産屋が「あのエリアは落ち葉が多いから高級住宅地よ」と紹介するなど、良好に維持された街路樹(強剪定ではない!)によって不動産価値が高くなっていることが広く認識されていました。




受益者負担で実施する落ち葉清掃に関しても、合理的な運用がなされており、例えば最近注目を集めているオレゴンのポートランド市では「Leaf Day Pickup service」が行われており、WEBSITEから申し込みができたりしています。

自分で清掃すればお金はかからず、市に委託すれば特定の日に落ち葉掃除をし…

認証制度の一石二鳥/SITESとLEED

LEEDは建築物環境性能認証システムとして日本国内でも広がりをみせています。
また、持続可能な敷地の環境性能認証システム"SITES"も、このブログで何度か取り上げてきました。

このLEEDとSITESは同じUSGBCが運営していることもあり、類似した評価要素が多く存在します。

たとえば、

SITES Context C1.5: Redevelop Degraded Sites  (only case 2 Brownfield Sites)

LEED SSc3: Brownfield Redevelopment

Water P3.2: Reduce Water Use for Landscape Irrigation (only Design the Landscape for no Permanent Irrigation)

WEc1: Water Efficient Landscaping (only Option 2 –Path 2: No Permanent Irrigation)

Soil + Vegetation C4.9: Reduce Urban Heat Island Effects

SSc7.1 Heat Island Effect –Nonroof and SSc7.2 Heat Island Effect - Roof

などなど
つまり、SITESに取り組むことでLEEDのポイントも稼げるということです。

USGBCから "Synergies between SITES and LEED"  というタイトルで資料が整理されているので、関心がある方はチェックしてみてください。



商業店舗におけるバイオフィリックデザイン採用のメリット/The Benefits of Biophilia and Greenery in Retail

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表題に関して興味深い記事が出ています。


消費者の多くはなんらかのストレスを抱えており、これをバイオフィリックデザインで解消しポジティブな気分を醸し出すことで売り上げが上昇し、ひいては不動産価値(賃料)が上昇するという内容で、豊富な研究データを用いながら解説しています。
Research literature already points to the biophilic benefits of integrating greenery in human habitats. While most research has up to this stage, focused on residential, healthcare and office environments, researchers are now turning their attention to retail environments and the case for green infrastructure here is strengthening.

例えば、来客数を増加させる、客単価を12%増加させるなどのデータが紹介されています。これは中規模の小売店で年間1億円の売り上げ増加を見込めるとのことです。
Building on this finding, additional research found that consumers were more inclined to enter a shopping mall when it contained vegetation and that ‘the presence of greenery led to higher exploration rates within the space.’

Customers also indicated that they were willing to pay eight to 12 per cent more for goods and services in areas with a mature tree canopy. As one study notes, for a ‘mid-size retail centre, this could generate over US$1 mil…

The New Landscape Declaration

2016 ASLA AWARDS

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本年度のASLA PROFESSIONAL AWARDS およびSTUDENT AWARDSが発表になりました。

2016年度はトロントのUnderpass Parkやシンガポールのビシャンパーク、リビルトバイデザインのTHE BIG Uなど、話題のプロジェクトが選定されています。審査講評を含め是非確認しておきたいサイトです。


個人的には今年もコミュニケーション分野のプロジェクトが興味深いと感じました。

公園の魅力に関して出前授業を行うRoving Rangers

住民参加型空地活用プロジェクトのツールキット、Activating Land Stewardship andParticipation in Detroit: A Field Guide to Working With Lots


植物を用いたブラウンフィールド浄化技術、PHYTO

海面上昇への適応策を検討した、Sea Change: Boston (画像は全てASLAサイトから転載)

この職能のコミュニティー活性化や地球環境保全、気候変動適応への幅広いニーズが益々高まっていることが理解できます。









緑地と害虫の切っても切れない関係/wildlife conflicts in Tokyo

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仕事柄、緑地の必要性に関していろいろな方と話す機会があります。
ところが年々、緑地は虫が出るから不要だという人が、増えていると感じます。

自分が働く、もしくは生活するエリアに緑が近接していると、虫に刺されたり室内が不衛生になったりするから嫌だ、公園は隣ではなく歩いて行ける程よく離れた距離にあればよいと考えているようです。


こんな傾向を裏付けるような論文がネイチャー誌に発表されました。
プレスリリースには以下のように紹介されています

(以下一部転載)

首都大学東京(上野淳学長)大学院 都市環境科学研究科の沼田真也准教授を代表とする高度研究プロジェクトは、東京都の福祉保健局のデータを用いて、東京都の害虫・害獣のうち、屋外害虫に関する相談件数が近年増加傾向にあること、そしてハチやヘビなどの相談件数と緑地面積には関連があることを明らかにしました。
 この研究成果は、8月2日、"Nature"グループのオンライン科学誌"Scientific Reports"に掲載されました。  生物多様性は近年自然保護のキーワードとなっており、都市政策において生物多様性に関する取組の重要性が高まっています。しかしながら、近年、生物多様性は必ずしも人間生活にとって正の効果(生態系サービス)を与えるわけではなく、害獣や害虫の増加など負の効果(負の生態系サービス)を与えうることが指摘されています。特に、都市域においては生物多様性の保全に寄与し、人間に快適な生活を提供する都市緑地に期待が集まっていますが、都市緑地が害獣・害虫の種類や数にどのような影響を与えるかは分かっていませんでした。 沼田真也准教授(首都大学東京大学院 都市環境科学研究科)を代表とする高度研究プロジェクトでは、都市の生物多様性と地域社会による利用の現状、および生物と地域社会との軋轢について研究を行っています。保坂哲朗特任准教授と沼田真也准教授は東京都の福祉保健局のデータを用いて、東京都の害虫・害獣のうち、各市区町村のハチやヘビなどに関する相談件数と緑地面積には正の相関があること、そして、これらの屋外害虫に関する相談が近年増加傾向にあることを明らかにしました。 ---

記事の通り、緑地の整備が都市生活者との間に軋轢を生んでいる可能性があること、その背景に、蜂の分蜂に関する過剰な報道など、生物多…

公園は肥満を減らせるか?/Healthy parks, healthy people

米国においても成人男性の3人に一人は肥満と区分され、子供の肥満も増加しているそうです。
わが国でも肥満と健康の問題がクローズアップされるなど、世界中で肥満対策へのニーズはますます高まっています。


そんな中、公園の整備が肥満対策に有効であるとの研究成果がDrs. Ramesh Ghimire and Gary T. Greenから発表されています。


既存の研究では森林やオープンスペースなどが整備された地域では肥満率(BMI)が低いとの指摘がなされていました。ただし、既存研究は対象者の社会的地位や教育レベル、天候などの要素が加味されていないとのことで、まだ議論の余地が大きいと指摘されています。


そこでGhimireらは緑地を森林や牧草地など4種類に区分して調査したそうです。
その主な結果が以下の通り紹介されています


国立公園などが近くにある地域の住民はそうでない地域の住民に対してBMIが顕著に低くなっている。森林を一人当たり1エーカー増やせば300万ドル肥満に関するコストが削減できるカリフォルニアやコロラドなど豊かな山岳地帯や海岸がある州はアウトドア資源が豊富で肥満率が低いアウトドア資源が少ない南部の週では肥満率が高い低所得と肥満率の高さの傾向も有意に高くなっちいる。所得が低いエリアは、歩いたり遊ぶ場所、健康な食品が少なく、不健康な食べ物飲み物の広告が多い。このようなエリアに公園を整備することで、肥満率を改善する可能性が高い。


米国の肥満に関連する病気の医療費は$147 billionと試算されています
公園を創れば肥満が減少するというのは誰もが納得するストーリーと思いますが、それだけでは具体的アクション(GIへの投資)には結びつかないのでしょう。

本研究のように、代替手法や医療費削減と同じテーブルでGIを議論することが重要と思います。




■参考サイト

http://www.uga.edu/about_uga/profile/healthy-parks-healthy-people/
http://www.warnell.uga.edu/alumni/mag/logS16.pdf

都市公園は幸せな都市をつくれるか?/ Gallup-Healthways Well-Being Index

都市の緑が住民の健康維持や幸福感醸成に貢献している事は改めて指摘するまでもありませんが、一部からは、その効果があいまいであるといわれています。
一方、GISやビックデータ解析を活用し、緑地が都市住民に対して具体にどのような効用があるのかを議論する研究データ発表が最近増加したように感じます。

そんな時流に乗った研究が最近発表されましたので以下にメモを残します。


1.PLOS ONE誌に掲載された”Public Parks and Wellbeing in Urban Areas of the United States”
2.米国の主要44都市を対象としてGallup-Healthways Well-Being Indexを活用した調査を実施
3.本インデックスは以下の5つの要素を持つ
Purpose Well-Being: Liking what you do each day and being motivated to achieve your goalsSocial Well-Being: Having strong and supportive relationships and love in your lifeFinancial Well-Being: Effectively managing your economic life to reduce stress and increase securityCommunity Well-Being: The sense of engagement you have with the areas where you live, liking where you live, and feeling safe and having pride in your communityPhysical Well-Being: Having good health and enough energy to get things done on a daily basis 4.主な研究成果

都市の公園整備の状況と都市住民の幸福度の関係性を調査した結果、正の相関がみられた。たとえば、ワシントンDCは都市公園率(22%)がもっとも高いグループに位置し、5つの幸福感も高かった。その反対にインディアナポリスはわずか5%の都市公園しか…

コウモリとまちづくり/2 MILLION BATS Austin Texas

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有名な米国テキサス州オースティンの蝙蝠の動画

レストランや橋の上、河原からだけでなく、カヌーを漕いで飛び立つコウモリを観察に来るようです。

害虫駆除だけでなく、大きな観光資源となっていますね





都市緑地と死亡率/More exposure to vegetation linked with lower mortality rates in women

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4月14日の”journal Environmental Health Perspectives”において、住宅の周囲の植生と女性の死亡率が大きく関係しているとの研究データが発表されています。




研究の概要は以下のようなものです

10830人の女性の自宅を対象高解像度衛星データを活用しながら自宅から半径250mと半径1250m以内にある植生を調査2000年~2008年まで女性の健康状態(癌、呼吸器疾患、腎疾患など)を調査し、期間中に8604人が死亡

その結果次の知見が示されました

自宅の周囲の緑の量と死亡率に相関関係がみられた緑量の多いエリアに居住している女性は緑量が少ないエリアに居住している女性と比較して、呼吸疾患関連の死亡率は34%低い状況であった。同様にがんは13%、腎臓病は41%低い死亡率であった。

いままで、年齢、喫煙経験、社会的地位などが死亡率と関係することが研究データとして示されてきましたが、今回の研究によって緑の効果の一端が明らかにされました。

本研究の担当者であるハーバード大学のジェームズ氏は以下のように述べています

“We know that planting vegetation can help the environment by reducing wastewater loads, sequestering carbon, and mitigating the effects of climate change. Our new findings suggest a possible co-benefit—improving health—that presents planners, landscape architects, and policy makers with an potential tool to grow healthier places,”


ランドスケープ/環境デザインに携わる方にとり、今後デザインの可能性が広がるうれしいコメントではないでしょうか。


本研究はある意味、当たり前の結果とも言えますが、緑と健康の関係性を科学的な検証で明らかにしていく作業は非常に重要です。
また今回のようにビックデータやGISを活用することで、説得力のあるデータを示すことが可能であることを改めてよく理解できました。


緑と健康に関する研究は、今…

プロスペクトパークのイキモノ除草/NY

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NYのプロスペクトファームでヤギ除草を開始したことがニューヨークポストの記事で紹介されています。

(写真はKファーム朝霞農場の羊たち)


プロスペクトパークでは公園の斜度のあるエリアを中心に8頭のヤギを除草のため導入したそうです。コストは$15,000(160万円)と紹介されています。

2012年のハリケーンサンディで公園の樹木が損傷し、そのエリアに侵略的外来種が多く繁茂しはじめたため、それらを駆除し、在来の植生を再生することが目的だとのことです。

我々の2010年からの実験でもヤギ除草/イキモノ除草を継続すると成長の速い外来種が減少し、在来種が回復することが示されています(都市域における山羊を利用した緑地管理活動の研究)。


山羊や羊による緑地管理は、コストやCO2削減だけでなく様々なベネフィットがある。 これを理解しチャレンジしている仲間がいるという、うれしいニュースでした。



“broken windows” theory /都市緑地と犯罪防止

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生態系保全や景観創出など多様な緑地の多面的機能の中で、健康回復への貢献と犯罪抑止に関しては関心が高いものの研究データ(エビデンス)が十分ではありません。

一方で、エリアごとの詳細な犯罪発生データなどの情報開示の進展やGISの普及によって、樹種、管理状況など緑地の状況と犯罪発生の関係を科学的に分析する研究が始まっています。

例えば、昨年発表された下記論文では、オハイオ州ヤングスタウンを対象として都市の空地を緑化した場合の犯罪発生の変化を調査しています。

Effects of greening and community reuse of vacant lots on crime


この論文では、産業の空洞化が進み、高い失業率と景気低迷に苦しむヤングスタウンで、人を雇い、都市内の空地を果樹園や庭園として再整備したところ、該当エリアでは窃盗や強盗などの犯罪が優位に減少下とのことです。


また、2000年からグリーンインフラの整備が進められているフィラデルフィアでは、市内の52拠点と14種類の犯罪発生の関係性を調査したそうです。
その結果、市全域では麻薬の所持率が上がってしまっているものの、GI拠点の周辺では18~27%麻薬所持率の減少が見られたとのことです。



(PWDより)

犯罪減少に強く関与する緑の要素は、芝生、スプリンクラーやホース、灌木、庭木、樹冠率、透水性だということです。

加えて、庭のメンテナンスレベルが犯罪者に警告を与えるとのことです。つまり、「割れ窓理論」と同じく、よく手入れされた庭があるエリアは周囲の人の監視が行き届いており、犯罪抑制に結びつく理屈です。

参考にしたニュース記事では、都市緑地は犯罪防止の役割を果たすことが出来る。高犯罪エリアによく手入れされた緑地を創ることが第一歩だ。と解説しています。


The upshot: Urban greenery should play more of a role in cities’ plans to reduce crime. A good first step would be increasing public attention to landscaping in high-crime areas and assisting residents in taking care of their own lot…

予防医学と生態系サービス/Ecosystem Services and Preventive Medicine

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公園や河川、農地などが市民の健康維持に貢献していることは広く知られていますが、予防医学の観点からその効果の定量的データをとりまとめた論文がカリフォルニア大学やUSDAの医師や研究者から発表されました。

Ecosystem Services and Preventive Medicine A Natural Connection
Viniece L. Jennings, PhD, Claire K. Larson, MD, Lincoln R. Larson, PhD


このペーパーでは以下のような説明がなされています



都市内の公園緑地の密度と活動的なライフスタイルは正の相関があり、心臓関係の疾患やメタボを減らす効果がある緑地へのアクセス性がよいとうつ病の発生率が抑えられる。また、自然環境の存在は良好なコミュニティー形成と健康維持に効果がある。生態系サービスと公衆衛生が強い相互関係にあることが最近の関連の研究で明らかにされている。特に文化的サービス(審美的機能や野外レクリエーション機能)は医学的に重要な役割を果たしているが、不十分である事例が多い生態系サービスと予防医学の関係は今後、医療行為に活用していくために緑との接触方法など具体的アウトカムなどの研究を進める必要がある。今後、研究資金の確保や学際的な取り組み体制、関係者のトレーニングなどが必要である

この分野の研究は最近各方面で進められていてよう注目ですね
この記事も参考になります











道路のGI化/DenverとIndianapolis

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米国の主要都市で、車道を減らし歩道や自転車道、バイオスェルなどを充実させる道路の再整備プロジェクトが進められています。

インディアナポリスでは”The Indianapolis Cultural Trail”が整備され、車道や駐車場が自転車や歩行者のための空間に生まれ変わっています。

同時に自転車道脇には bioswalesも設けられました。








デンバーでも、中心市街地の駅や公園、観光名所を結ぶ道路を”Urban Trail”として再整備しています。
ボンエルフや滞留空間を設け、市内に入る車の減少や観光活性化にも寄与することが狙いです。


 Image: Aecom 

こうした計画は、事前の綿密な調査に基づき、通勤などの通過交通を中心市街地に侵入させないためのバイパス整備や、鉄道や歩道など他交通インフラとの接続などの工夫を重ねることで実現化しています。

駐車場が減り不便になったという人も少なくないようですが、多くの市民との対話を重ねながら計画を進めているようです。



■参考サイト:

http://denver.streetsblog.org/2015/12/09/two-downtown-streets-could-be-transformed-into-an-urban-trail/


Urban Solutions issue #8 ”Building with Nature.”/シンガポール

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シンガポールの政府機関であるCLC(Center for Liveable Cities)が発行する”Urban Solutions.”

最新号は自然共生がテーマとなっており、
アトリエドライザイテルのドライザイテル氏へのインタビュー記事や、
バイオフィリックデザインのシンポジウムの内容などが掲載されています。


世界各地のランドスケーププロジェクトが紹介されていますが、
東京の事例では、我々の取り組んでいるイキモノ除草が紹介されています。



http://www.clc.gov.sg/Publications/2016issue.htm

フリーで読めます⇒
http://www.clc.gov.sg/documents/books/urban%20solutions%208med.pdf





パリ再生国際コンペ/reinventer.paris

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パリの23地区を対象とした都市再生国際コンペの結果のメモ

建築物の再生計画がメインですが緑関係も多数提案されています


屋上農園活用モデル
http://www.reinventer.paris/en/sites/1252-ternes-villiers-17e.html

特殊緑化活用モデル
http://www.reinventer.paris/en/sites/1239-gare-massena-13e.html
http://www.reinventer.paris/en/sites/1235-edison-13e.html

ベランダ緑化活用モデル
http://www.reinventer.paris/en/sites/1236-bains-douches-castagnary-15e.html

道路上の建物緑化モデル
http://www.reinventer.paris/en/sites/1251-pershing-17e.html

プランター緑化活用モデル
http://www.reinventer.paris/en/sites/1258-ordener-18e.html

パリにはまだまだ緑が必要なんですね。
都市におけるグリーンインフラ活用の参考モデルになりそうです






(画像は公式サイトから転載)



EPA Green Infrastructure Technical Assistance Projects/GIの技術紹介資料

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昨年末に米国EPAから
Tools, Strategies and Lessons Learned from EPA Green Infrastructure Technical Assistance Projects」が発表されました。




2012年から開始しているEPAのグリーンインフラプロジェクトを紹介するもので、各プロジェクトの技術概要、位置図、GIのもたらす利益、参考資料などが豊富な写真・図とともに紹介されています。
米国にGI調査に行くときのガイドとしても有用ではないでしょうか。
それにしても、政府主導でこれだけGIが実践されているというのはうらやましい限りです。

以下に目次を転載しておきます

---
Contents
Introduction .................................................. 1
What is Green Infrastructure?........................ 2
How Can Green Infrastructure Benefit Your Community?..................... 3
Improve Water Quality and Conserve Water.. 4
Save Money with Green Infrastructure on Public Projects .... 4
Work with Developers to Identify Opportunities on Private Property....... 5
Design It and They Will Build: Guidance and Standards ................................ 7
Mythbusting Green Infrastructure....................... 8
Measuring Benefits for Water Quality................. 9
Strengthen the Local Economy..................... 10
Count Benefits for Decisionmakers........…

都市農業振興基本計画 (案)パブコメ募集中

昨年4月に都市農業振興基本法が成立し、都市農業の具体的な振興計画を定める国の基本計画(案)が公表され、現在パブリックコメントを募集しています。


■リンク先:都市農業振興基本計画(案)についての意見・情報の募集について


都市農業は高齢化や後継者不足に加え、税制などが課題となり営農を継続することが困難になっています。
例えば三大都市圏の特定市では、平成34年には面積ベースで約8割(約1.1万ha)の生産緑地地区が指定後30年を経過し、市町村に対する買取りの申出が可能となるそうです。このため、都市の貴重な緑としての生産緑地を今後どのように維持していくのかが、大きな課題となっています。

これに対して基本計画案では以下のような提案が示されています

・将来にわたり保全する農地は、市街化調整区域への編入つまり逆線引きを促す
・地方の市町村は生産緑地制度の活用を進める
・地域の合意を前提として一定期間にわたり農地を保全する新たなる土地利用のマスタープランを定める。
・都市農業の多様な担い手に対応するため生産緑地の賃借を推進する。

その他、高齢者、障害者、生活困窮者等の福祉を目的とする都市農業の活用の促進、なども示されています。

都市農地のグリーンインフラ化を目指した取り組みも増加しています。
こちらはいずれまた紹介します。


Big Dig完成から10年/ボストンのGI

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昨年末にボストングローブ紙に”10 years later, did the Big Dig deliver?”と題した記事が掲載されました。

高速道路を地下化し、騒音や大気汚染、交通渋滞の解消する。加えて、高速道路上部に公園緑地を作り出すことで、分断されていた地域コミュニティーを再生し、周辺の不動産価を大きく上昇させた「ビックディックプロジェクト」。緑を活用した都市再生の好事例として当時の業界紙では韓国の清渓川再生とともによく取り上げられていました。

予算は当初26億ドルから最終的に150億ドル(利息も含めると240億ドル=120円換算で3兆円近く)と大きくオーバーしています。また、工期も予定から8年遅れて完成したため、当時から必要性について議論がありました。

記事では、2006年の完成から10年が経過した今、ビックディックがボストンの街に何をもたらしたのかが紹介されています。

内容は概ね以下のようなものです(詳しくはリンク先をご確認ください。)


確かに交通渋滞は解消したが、ここまでの仕様の道路が必要であったのか?150億ドルというコストに対する便益は少ないのではないか?道路の維持管理費も想定よりも高くなっている。一方、公園緑地による都市の魅力向上は大成功だこれにより、ビックディック周辺の民間不動産業者が得た利益は大きく、受益者負担の面では課題が残る。同様のプロジェクトはシアトルなどでも試みられており、最新の施工技術によりもっと割安に整備できる可能性が高い。賛否両論あるが、ビックディックがボストンの街にもたらしたさまざまな便益を考えると、本プロジェクトは割安であったという意見も否定できない。
2002年と2008年の写真(Photo Credits:Before David L. Ryan/Globe Staff After David L. Ryan/Globe Staff)

私は工事中にボストンを訪れたことがありますが、当時いたるところでプロジェクトのPRポスターを目にし、ボストン市民の期待は大きいと感じていました。
ボストン市内にはエメラスドネックレスと呼ばれる魅力的な緑地ネットワークがあり、完成後の現在、ビックディックとどう結びついたのか、気になるところです。