Big Dig完成から10年/ボストンのGI

昨年末にボストングローブ紙に”10 years later, did the Big Dig deliver?”と題した記事が掲載されました。

高速道路を地下化し、騒音や大気汚染、交通渋滞の解消する。加えて、高速道路上部に公園緑地を作り出すことで、分断されていた地域コミュニティーを再生し、周辺の不動産価を大きく上昇させた「ビッグディッグプロジェクト」。緑を活用した都市再生の好事例として当時の業界紙では韓国の清渓川再生とともによく取り上げられていました。

予算は当初26億ドルから最終的に150億ドル(利息も含めると240億ドル=120円換算で3兆円近く)と大きくオーバーしています。また、工期も予定から8年遅れて完成したため、当時から必要性について議論がありました。

記事では、2006年の完成から10年が経過した今、ビッグディッグがボストンの街に何をもたらしたのかが紹介されています。

内容は概ね以下のようなものです(詳しくはリンク先をご確認ください。)


  • 確かに交通渋滞は解消したが、ここまでの仕様の道路が必要であったのか?150億ドルというコストに対する便益は少ないのではないか?
  • 道路の維持管理費も想定よりも高くなっている。
  • 一方、公園緑地による都市の魅力向上は大成功だ
  • これにより、ビッグディッグ周辺の民間不動産業者が得た利益は大きく、受益者負担の面では課題が残る。
  • 同様のプロジェクトはシアトルなどでも試みられており、最新の施工技術によりもっと割安に整備できる可能性が高い。
  • 賛否両論あるが、ビッグディッグがボストンの街にもたらしたさまざまな便益を考えると、本プロジェクトは割安であったという意見も否定できない。

2002年と2008年の写真(Photo Credits: Before David L. Ryan/Globe Staff After David L. Ryan/Globe Staff


私は工事中にボストンを訪れたことがありますが、当時いたるところでプロジェクトのPRポスターを目にし、ボストン市民の期待は大きいと感じていました。
ボストン市内にはエメラスドネックレスと呼ばれる魅力的な緑地ネットワークがあり、完成後の現在、ビッグディッグとどう結びついたのか、気になるところです。





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